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小樽温泉訴訟第三期日の報告
(弁護士 東澤 靖 著)
札幌高等裁判所で第3回期日開催ー控訴人側が、弁論の分離を申立ー
11月6日、札幌高等裁判所第3民事部で開かれた、小樽市人種差別訴訟の第3回期日について報告します。この事件では、(1)有道出人さんの小樽市に対する控訴事件と、(2)湯ノ花の有道さんその他の1審原告に対する控訴事件とが、一緒に継続しています。
(1)の事件では、有道出人さんと、東澤靖弁護士、西村武彦弁護士、芝池俊輝弁護士が出席しました。小樽市側は、伊藤隆道弁護士が出席。
(2)の事件では、1審原告の一人であるオラフ・カートハウスさんと伊東秀子弁護士が出席し、湯ノ花側は、菰田尚正弁護士が出席。
(1)の事件では、控訴審になってから初めて、小樽市側から反論の準備書面が提出されました。その内容は、人種差別撤廃条約は裁判所で直接適用できない、小樽市はやれることはやってきた、という内容です。この書面に対しては、次回までに有道さん側が反論することになりました。
逆に有道さん側からは、90年代以降の小樽市における外国人をめぐる出来事やそれに対する小樽市の対応を詳しく分析した準備書面(3)を提出し、また、新たな証拠として、準備書面(3)の主張を裏付ける新聞記事、国際法や人種差別撤廃条約の効力に関する松本祥志教授の意見書などを提出しました。
(2)の事件については、期日間に一審原告らが損害賠償請求額を一審での訴状と同じ、各200万円とする付帯控訴を行っていました。しかし、それ以上に主張や証拠が提出されることはありませんでした。
このように(1)の事件と(2)の事件は、その主張内容や争点、必要とされる証拠調べの程度など、大きな差違があり、はたして同じ口頭弁論で進めていくことが適当なのか、という疑問が以前よりありました。そして、(1)の事件の有道さん側も、(2)の事件の1審原告の側も、この2つの事件は別々に審理してほしいという気持ちを持っていました。
そのため(1)の事件の有道さん側は、今回、「弁論分離の申立書」を正式に裁判所に提出しました。この申立を1審原告らを代理する伊東秀子弁護士も強く支持しました。小樽市の代理人、湯ノ花の代理人も特に異議はないという態度でした。
しかし、裁判長は、分離に対してきわめて否定的でした。有道さんの小樽市相手の訴訟についても、法律的な論争があるだけなので特別に何度も審理する必要はないのではないか、というのがその理由でした。結果的に裁判所は、「弁論分離の申立書」をその場で退けることはなく、次回期日までに検討すると述べました。
次回第4回期日は、年が明けて2004年1月27日午前10時30分となりました。
小樽市訴訟弁護団は、小樽市の主張に対する全面的な反論を準備する予定です。他方で、裁判所は、弁論の分離に否定的であることから、次回に当方の求める証人調べも行うことなく、裁判手続を終了させてしまう可能性も高まってきました。
裁判所に十分な審理を行わせるためには、この問題に関心を持っていただいている
市民の監視が不可欠です。
次回第4回期日の傍聴を含め、いっそうのご支援をお願いします。
Appeals by me against the City of Otaru and by Onsen Yunohana against us plaintiffs
had their third hearing in the Sapporo High Court on Thursday, Nov 11. More specific
details forthcoming next week, when I have time to translate a report from one of
my Bengodan lawyers (recipients of the Japanese version of this update can see it
today). But in brief:
The judges sound inimical towards splitting the cases, even though each appeal addresses
fundamentally different issues. In my appeal, I question the constitutionality and
legality (under UN Treaty) of Otaru City not taking sufficient measures to eliminate
discrimination it knew about within its jurisdiction. However, in its appeal, Onsen
Yunohana is not denying the illegality of its actions--just claiming that 1 million
yen compensation to each Plaintiff is too much.
Our request for a separation is under consideration by the judges, but it doesn't
look likely. Meanwhile, we have been given time to rebut Otaru City's rebuttal of
our claims. Next hearing, Tuesday, January 27, 2004, 10:30 AM.