英字新聞「ジャパンタイムズ」2005年10月18日記載
チェックインの際、外人チェックポイント
厚生労働省が法を乱用
旅館業法改定「日本国内に住所を持たない外国人はパスポート掲示」は当局「全ての外国人を」と曲解し、米国大使館からも訂正の指示を無視して謝った通知を 全国のホテルに発行
有道 出人 著
(Japan Times article available at http://www.japantimes.com/cgi-bin/getarticle.pl5?fl20051018zg.htm )
(このページの元英文は http://www.debito.org/japantimes101805.html )
本年10月7日〜11日、日本全国語学教育学会(JALT) は2005年次の総会を静岡にて開催しました。以前、静岡県はJALT総会をホストしたことがあり、数千人の他言語で交流する外国人の訪れに慣れてきて無 事に行くと思いました。
しかし、今回は変なありがた迷惑を補ってくれました。それは「チェックインの際に外人のみのチェックポイント」。
私と友人はホテルのフロントに着いた時、スタッフは「パスポートを見せて下さい。コピーさせていただきます。」
私は「これは外国人ツーリストのみに該当します」と説明したが、スタッフは印刷された書類を引き出しました。日本語、英語、韓国語と 台湾語(ポルトガル語 はなかった、静岡県内の登録している外国人の過半数はプラジル人なのに)で書いてあり、
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「パスポート掲示お願い 外国人の方の宿泊に際しましては、パスポートのご呈示及びコピーを取らせていただきいております。皆様のご 理解とご協力を賜り ますようにお願いいたします。」
(英語で "Japanese Law requires that we ask every foreign guest to present their passport, a photocopy of which we will keep on file during their stay with us...")
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(http://www.debito.org/shizuokahotelcheckpoint002.jpg)
私は「Japanese Law」、特に旅館業法について、明るい方なので、「これは観光客のみに該当することですよ。」
しかし、スタッフはすぐ別紙を引き出し、「問い合わせ(苦情)対処用」とタイトルされた用紙(タイトルはそのままです!「お客様から の問い合わせの際」な どの丁寧な言葉遣いではなく)を提示しました。
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「日本政府は法律により、2005年4月1日から「日本国内に住所を持たない外国人」の方の宿泊に際しては、氏名 住所 職業 等の記載に加えて国籍及び 旅券番号の記載とパスポートの提示及びコピーを義務づけしました(後略)」
"Effective April 1, 2005, Japanese legislation makes it mandatory that you, as a 'non-resident foreign guest', present your passport and have it photocopied…"
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(用紙は http://www.debito.org/newhotelpassportlaw.jpg)
要は、「苦情対処用紙」の方が私の言ったことを認証しました。全ての外国人(または外国人に見える私)に要求することはできません。
もちろん、ホテルが観光している宿泊客の旅券番号を記録することは理不尽ではありません。例えば、ヨーロッパのホテルでは当然です。
但し、日本に在住外国人は観光客ではございません。しかも、パスポートの常時携帯は義務付けられていません。(代わりに常時携帯の 「外人カード」が存在し ています。)しかも、外 国人登録法第十三条第二項によると、「法務省令で定める国又は地方公共団体の職員」(つまりたいてい警察や入管)以外の人は「外人 カート」のデータを要求できません。
私がこの「苦情用紙」を音読して矛盾を指示した結果、スタッフは首を傾げたのみで、「私たちのポリシーです。ご協力を。」
私は、「国内住所があるかどうかは最初に聞くべきではないのか。いずれに、国籍を問わず皆の客がチェックインする際に記入する用紙で 分かるのでは?顔を視て『外人 だ!チェックポイント!』を自動的に反応するよりも、もっといい客の持て成しがあるのでは?」
それでも、スタッフはパスポートを要求しました。結局、「私は国民です」と言って、マネジャーを読んで改善を願いました。「法を遵守 して下さい」と願いましたが。
しかし、ホテルのみを攻めることはありません。従順にお上からもらった指令を守ろうしたことにすぎません。「誰がこの用紙を発行しま いしたか」と聞き、「県からで す」と教えてくれました。
実は、最初は静岡県警察署からだったと思いました。警察庁は最近外国人を標的にするのは珍しくありません。どこでも「外人カートを見 せ ろ」を言う警察官、 公の場で「外国人犯罪に注意」のチラシの掲示、外国人犯罪を大げさに報道すること、「外国人犯罪生体資料(DNA)施策」などはこのジャパン-タイムズコ ラムでも暴露されました。
http://www.debito.org/TheCommunity/communityissues.html#police
http://www.debito.org/ishiharahikokusaika.html
http://www.debito.org/NPAracialprofiling.html#nihongo
これで、旅館業法の改訂はもうひとつのターゲティングの手段を入手したわけです。ホテルを警察署の代わりに外国人を観察し、外国人の 旅 行は視察旅行となってい ます。この改訂は本日4月1日から発効したものの、ジャパン-タイムス(05年3月8日)によると去年11月から全国にあるホテルは警察署に連絡されて、 旅券番号を提示しない外国人は入室と予約を断っています(これこそ旅館業法違反です)。
http://www.debito.org/japantimes030805.html
しかも、これは静岡県警察署です。特に外国人を標的にする歴史があります。
例えば、2000年2月、静岡県警察本部は「来日外国人犯罪の特徴」というハンドブックを出版し、店舗などに公布しました。全文は
http://www.debito.org/TheCommunity/shizuokakeisatsuhandbook.html
非常にセンセーショナルな文庫です。色々ないわゆるユスフールなアドバイスのなか、中国人とブラジル人がおっかないように描写し、日 本人の犯罪に参加する ことをなるべく無視しようとします(22ページ)。
特に印象が残ったのは21ページの助言;「外国人グループが乗ってきた車を確認。ナンバーをメモして警察に通報」。これからどうやっ て外国人は友達と一緒 に買い物ができるのでしょうか。事件の現場に近く居合わせてしまったら大変ですね。
だから、このホテルのチラシについて静岡県警察本部(054-271-0110)に電話して、外国人犯罪対策課の安野氏と話しまし た。「いえ、静岡県警察 は作成しませんでした」という返答でした。
それから静岡県庁(054-221-2455)に電話しました。静岡県も、非常に外国人労働者の多い県なのに、外国人住民の待遇も改 善すべき面もありまし た。
静岡県は低賃金で雇うブラジル人-ペルー人労働者が県内の生産者(HONDA、SUZUKI、KAWAI など)を救っているもの の、国民健 康保険の加入を断っ ていました。なぜなら「国民ではない」と判断していました。もう既に改善しました(改善点を明確にする「浜松宣言」を発行した)が、こうなるまでは数年間 もかかりました。
http://www.debito.org/hamamatsusengen.html
しかし、県庁観光交流室の田林氏はホテルに指令も出しませんでした。「厚生労働省が作成した」と教えました。
実は、すぐ納得しました。以前、厚生労働省の方が省令第4018号を公布した。本年3月付の公表で、外務省経て海外までも旅館業法の 改 訂を 「effective prevention of infectious diseases and terrorism」 (テロと感染病の効果的な防止のため)で正当化しました。同発表で、「ホテルは全ての外国人客はパスポートを呈示してコピーす る」と誤った情報を流しました。
http://www.us.emb-japan.go.jp/english/html/033005b.htm
ところが、このジャパン-タイムズコラム3月8日付を愛読する米大使館は厚生労働省に連絡して、「在住外国人には当てはまらないので は?」と確認し、厚生 労働省は訂正を約束しました。米国大使館は在日アメリカ人にそう報道しました。
http://www.debito.org/japantimes030805.html#Update
その訂正は静岡県内のホテルまで届いていなかった様です。よって私はまた厚生労働省(03-5253-1111)に連絡して、生活 衛生課(外国人に関わ る当局としては面白い名称であろう)の三浦氏と話しました。
最初は、三浦氏は「県がチラシを書いた」と主張したが、信じがたかったです。 ここまで完璧に数が国語まで出来上がる翻訳は 県のレベルではないと思って、内容は以前の厚生労働省の通知にそっくりでした。
それで、ホテルへの通知は厚生労働省発行だと認めて、全国的に配布したと言いました。私は誤った情報が公表されて直ちに再び訂正を公 布してと要求しまし た。「検討します」と返事しましたが、的確に法を守るのは検討するものでしょうか。
とにもかくにも、行政府は自分で公布した法や遵法していないので、皆様、自分で法をダウンロードしてホテルにチェックインする際に呈示して下さい。ダウ ンロードは;
http://www.debito.org/newhotelpassportlaw.jpg
次のホテルがチェックポイントを行いたければ、「日本人と違って、外国人が病人、外国人がテロ」という扱いを撤廃させましょう。
ENDS