2001.01.30  17:05  社会 067    590字
「民族差別の現状認識を」  札幌で人権審公聴会
(共同通信)

 新しい人権救済制度づくりを目指している法相の諮問機関、人権擁護推進審議会(塩
野宏会長)の第四回公聴会が三十日、札幌市内で開かれ、アイヌ民族や外国人、女性へ
の差別の実態を訴える声が相次いだ。
 北海道ウタリ協会の秋辺得平理事は「アイヌに対し日本政府は、まさに絶滅しろと言
わんばかりの国家ぐるみの同化政策を行い、社会全体で差別してきた」と指摘。審議会
が出した「中間取りまとめ」が、結婚・交際での差別を「内心の自由にかかわる問題」
として積極的救済の対象に含めていない点について、秋辺氏は「今も深刻な社会問題で
あるという現状認識に全く欠けている」として、救済対象とするよう求めた。
 米国出身の大学講師、菅原有道出人(すがわら・あるどうでびと)氏は、小樽市の温
泉で入浴を断られた自身の経験を紹介。紋別市、稚内市、根室市でも、公衆浴場や飲食
店、理髪店などが外国人客を断ることを指摘し「罰則付きの人種差別撤廃法が必要」と
訴えた。
 夫の暴力から逃れるため三人の子供を連れ避難施設に駆け込んだ経験をもつ女性(4
3)は「私が悪いから殴られるという意識をもつのが、ドメスティックバイオレンスの
被害者の特徴。殴ることは犯罪だという意識を広め、関係機関の連携を強めて女性の人
権を守ってほしい」と訴えた。
 各地で開かれた「中間取りまとめ」に対する公聴会はこれで終了。今後は審議会の議
論が再開される。
 【編注】しおの・ひろし▽あきべ・とくへい▽すがわら・あるどうでびと