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レポート
北海道紋別市未だに「日本人専用店」看板は掲示
カートハウスと有道 出人は排斥施設を訪問
2003年11月15日にあった結果を報告
(2003年11月20日 公開)
有道 出人(あるどう でびと)著
ロシア語「日本人専用店」
紋別温泉「美人の湯」 前
レポートのなか、全ての写真は2003年11月15日 有道 出人撮影
レポートのサマリーは北海道新オホーツク海版記事の後
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オホーツク海に面している港町の北海道紋別市は入国するロシア人に対して複雑な関係が長期間に渡り続いていた。それは船員によるトラブルがあったようで、1995年からはまなす通りにある飲食店組合はロシア語で「日本人専用店」という看板を販売して、掲示した組合員らは一時的におよそ100店舗少々に登った。しかし、ロシア人船員一律お断りのみにならず、一律外国人拒否となって、日本語ができる日本在住の外国人まで及ぼされた(東京テレビ番組「ココがヘンだよ、日本人」2001年2月28日放送
http://www.debito.org/KokoGaHen1.html) 。2000年7月、法務局人権擁護部旭川支局がこの看板が差別に当たるため撤廃を要求したものの、2003年11月15日の状況確認で看板の掲示がまだあると明らかになった。ひいては他の施設(税金が投入される第三セクターの銭湯及びレストランとカラオケボックス)は新たに看板を掲げるようになった。
当日、ドイツ国籍を有するカートハウスと日本国籍を有する有道 出人が行った状況確認の結果は、日本語はできれば、かつ、日本語ができる人と一緒であれば、入場は可能だった。当看板の内容が分からなかった店舗もいた。それであっても、当日の係員は看板を下ろすことを拒否した。
これからカートハウスと有道は2004年2月ごろに入店拒否看板を掲げている稚内市と紋別市に再度訪問し、各市議会に「差別撤廃条例を制定する陳情」を提出する予定である。
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稚内と紋別にある拒否看板の写真は
http://www.debito.org/roguesgallery.html#Wakkanai
http://www.debito.org/roguesgallery.html#Monbetsu
目次
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1)この状況確認の目的とやりかた
2)第三セク入浴施設「とっかりの湯」への訪問
3)同建物内のレストラン「ジョイ」への訪問
4)紋別温泉「美人の湯」への訪問
5)はまなす通りのスナック「呑ドン」への訪問
6)カラオケハウス「大江戸」への訪問
7)結論とネクストステップ
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カートハウスと私が紋別市に訪れたのは初めてでありません。2000年4月と2001年5月にも拒否看板を確認しに行って、外国人を拒否する店舗は日本の住民と国民の私たちに対してどんな待遇となるのかは認識しました。当時でも私たちは最初に拒否となったケースがあったが、日本語ができること、かつ、一緒に取材に来た記者が「この2人はいい人なので、話して下さい」と言って仲介人になったことが原因で入店できました。(または私たちのことが知っている人は少なくわなかった。「あぁ、あなたはその裁判の原告の2人だね。どうぞぉ」が言われて「顔のフリーパス」のケースもあった。)
今回の訪問の目的は
●拒否看板を掲示する店舗を見付けて
●その店舗の立場をしっかり聞いて
●私たちの立場を言って
●その拒否看板を外すのを願うこと
では、いうまでもないことかもしれないが、この「日本人専用店」看板は何が悪いでしょうか。状況確認の結果は一律外国人お断りではないと明らかになったので、別に掲げてもいいのでは?「ロシア人向けだけだろう。だから殆どの看板はロシア語のみだ」と論じる人もいると思います。しかし
ア)今年の5月と6月、道内のJETプログラムに勤めるカナダ人とアメリカ人は上記の第三セク及びカラオケハウスでそれぞれに入店拒否されたようです(当事者は既に契約切れで帰国したので私は確認できなかったが、紋別在住の外国人の友達はそう証言した)。第三セク施設は9月8日の北海道新聞で「ロシア人入浴断る 『マナー悪く客足落ちた』」
(http://www.debito.org/doshin090803.jpg)
と告げたが、記事で言及されるロシア人が起した事件はそのJETの拒否の後です。しかも、そのJETの人達は日本人の友人と一緒に来たので、ロシア人船員かつ言語の障壁が拒否要素ではないようです。
イ)拒否看板を掲げる行為は「外国人を拒否すべき」と公に明白な宣言をすることとなります。意図的に「ロシア人だけに実施」と主張されても、実際にそれぞれの道内と道外の拒否店舗は一律外国人拒否となるケースが多いです(前述の番組「ココがヘンだよ、日本人」で紋別でもそうなった)。結局、「外国人」は外見で判断されるので、人種差別の糸口となり得ます。
ウ)拒否看板の行為は「コピーキャット」(模倣者)を勇気づけます。小樽温泉訴訟
(http://www.debito.org/nihongotimeline.html)
の基本主張だが、小樽市は1993年から入浴施設にあった拒否看板を撤廃せず放置して、道内及び道外にも看板で指示する差別が拡散しました。外国人が起した問題があったことがない所(例えばW杯の間に札幌すすきののラーメン店で(http://www.debito.org/susukinosign.html)
)でも看板が掲げられ、支配人は看板の内容さえ分からなかったケースがありました。要は、「拒否看板」はある程度外国人を怖がっている人の「条件反射」みたいな措置となりました(つまり、交流よりも疎外の方が簡単だ)。特に、このレポートで発掘することだが、紋別の場合では風評の流布によって「ロシア人恐怖症」が強まったので、看板をコピーキャットするのは手っ取り早かったです。
エ)この看板の掲示は「ケースバイケース」であるかどうかは論外です。人種・外見・国籍などで人を拒否することは違憲で国連の人種差別撤廃条約違反です。先進国でこれは違法行為となります。
状況確認の当日、取材に来た記者(新聞の道新、読売、オホーツク、北海民友、テレビ局のHBCとSTVとNHK)の方々にそう論じました。皆様に問題の経緯と解決策を提案しました。テキストは
http://www.debito.org/monbetsuhandout111503.html
でご覧になれますが、解決策の案は
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● 入国管理局・現地の公安委員会は「ブラックリスト」を作ること
既に「不法滞在・残留者」の記録の前例があり、強制送還の上10年間の再入国拒否の名簿は存在しております。
● 外国人船員に入国の際きちんと警告すること
「上陸後、あなたは問題を起すなら、当ブラックリストに名前が乗る。そして二度と日本に入国はできなくなります」
● 入店マナーを明確にし、しっかりと実施すること
あくまでもルールが分かるなら猿でも守ります。守らない人(日本人も含み)は一回注意、それでも利かなければ退室・追放してもらいます。協力しない人の場合は警察を。
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それぞれの訪問はこういう結果がでました:
場所:「湯けむり紋別とっかりの湯」
住所:紋別市幸町4-1-1 電話 01582-4-1726
拒否看板の内容:日本語:「入浴マナーが守られていない為、当分の間、外国船乗り組み員の入浴はお断りいたします。」ロシア語で「外国人船員様よ、我々の ◎ルール ◎に対する尊敬はどうなりましたか?当分の間、我々の風呂には◎外国船乗り組み員◎の入浴が◎
禁じられています◎」。(◎◎の間は強調のためにロシア語原文が大文字)2003年8月から掲示
●私たちの入場の結果: 3人で別々に入店した。11年間紋別在住のエリックソン・ジェームズ氏の場合、カウンターのスタッフは英会話学校の校長だとすぐ分かった。カートハウスは日本語ができると入浴マナーが分かっていると確認してから入場許可。有道の場合、日本語理解度を確かめられたうえ、日本国籍があると言ったのに、スタッフに数カ国語(和英中韓露)で書いてある入浴マナーのビラが見せられ、「あなたはルールを守りますか」に「はい」との正解を出してから入場許可が下された。有道が「日本人客の皆にこのルールを見せますか」と聞くと、「いえ、でも、ルールを守ってくれるかは聞く」と答えた。
●当社の立場: 支配人の太田氏は道新に載った通りだと認めた (http://www.debito.org/doshin090803.jpg)
。つまり今年4月から開店の上、当初は「目立ったトラブルはなかったが、サハリン沖のロシア軍事演習で紋別港にロシア人船員の入港が増加した8月中旬から、脱衣場での酒盛りや露天風呂で喫煙など、マナーの悪いロシア人の振る舞いが目立ち、苦情が相次いだ」と言う。その後、「死活問題」のため、看板を掲示し始めた。5・6月、JETの納税者の拒否についてコメントはなかった。
●看板を外す? まだ検討中。「年内または年明けになるかもしれない」
●有道 出人の感想: 入浴マナーを明確にしているのは評価しております(しかし、外見で「マナー無知」を裁いている傾向がある)。その後、ルールの厳守のメカニズムが必要となります。太田氏はロシア人がトラブルを起した時、注意しただけで警察を呼ばなかったと認めました。施設のルール(及び治安)を守らせるために警察を呼ばず、一時的に来たロシア軍事がトラブルを起こしたのに、なぜロシア人全員を断る結論に至ったのかは分かりません。
場所:「ジョイ紋別店」
住所:紋別市幸町4-1-1 電話 01582-4-6651
拒否看板の内容:ロシア語のみ:「お願い。日本人あるいは日本語をしゃべれる人と一緒じゃないと入れません」2003年4月から掲示
●私たちの入場の結果: カートハウス、エリックソン氏と有道はウェイトレスに快く歓迎されて、無事にサービスをいただいた。
●当社の立場: 当ウェイトレスと副店長の地濃氏によると、当店が開店してから、本社の指令でロシア人船員の問題が起きる恐れで看板を作ってロシア人一律拒否にした。「弊社は時間制限のない食べ放題と飲み放題のスペシャルがあり、ロシア人が飲酒が好きなので、ロシア語ができるスタッフがいないのでトラブルになるでしょう」。本社は新千歳空港で18店舗を営業していて、国際関係で稼ぐのに300kmぐらい離れている紋別の現状を把握して踏み切ったようだ。ウェイトレスによると、外国人がよく当店に来て(英語か日本語ができるロシア人も)、一回もトラブルのケースがなかった。
●看板を外す? 検討中。本社に確認しないといけない。本社は(株)耕人舎 千歳市美々 新千歳空港内 ケータリングビル2F 電話 0123-46-5381 営業担当者 小松氏
●有道 出人の感想: 深刻な問題です。これはレストランなので、この現象が強まると人々が拒否され食べられなくなってしまいます。よって最低限の社会的サービスの疎外となります。それに、当店は一回もトラブルがなかったのに、どうして本社はこう制限してもいいと判断したのでしょうか。これは常識は噂と風評の流布に負けたと感じます。
場所:「紋別温泉 美人の湯」
住所:紋別市港町7 電話 01582-3-7909
拒否看板の内容:ロシア語のみで「日本人専用店」2000年(?)から掲示
私たちの入場の結果: カートハウスと有道 は無事に入れた。支配人の林氏は2002年の訪問から有道の顔に見覚えがあった。
●当社の立場: 「美人の湯」を開店する前に経営していた入浴施設があったが、ロシア人船員の乱用によって破綻となったようだ。その施設を外国人専用風呂として再び営業したかったが、するために紋別市からの援助が欲しい。だが紋別市はまだ「看板を外して」と言いに来ない。来てもらうと林氏は「援助してくれないと外さない。なぜその第三セクの『とっかりの湯』が税金で設立したのに外国人を断ることができるのか。こっちは民間会社として経営しているのにこっちの看板について文句を言われたくない」と市に言う。間もなく市が来ないと、いつかは前の施設の建物を自社で取り壊す予定だと。いずれにしても「とっかりの湯」の開店のせいで既にこっちの入場客は半分に減った。痛し痒し。
●看板を外す? 市から支援がないとできない。
●有道 出人の感想: 林氏の説明には附に落ちない面は多いです。なぜ前の施設を壊さなければならないのかは不明、なぜ援助金が必要かは分かりません(かえってこの論理に従うと解禁すればいい。ロシア人船員のビジネスを招けばいいのでは)。しかし、林氏は認めたことだが、以前の施設ではルールをしっかり実施しませんでした。ロシア人が入店して支払いなどもしなかった時が多かったのに警察に通報しなかったのです。そして、彼らは図に乗って、雰囲気が悪くなって破綻となったようです。結果ロシア人を断っています。なぜ自分でルールを守らせず破綻を他人のせいにするか、私はその理屈は理解できません。林氏はいい人だと感じるが、ビジネスマンとしてウェットの面もありすぎると思います。
場所:「呑ドン」
住所:はまなす通り
拒否看板の内容:ロシア語のみで「日本人専用店」1995年から掲示
●私の入場の結果: スナックのママさんは一人だった。有道は入店すると拒否された。「外国人は入って欲しくない、外国語はできないから」。でも、私は日本語もできる、日本国籍があるということに対して、「でも、あなたが入ると貴方みたいな人を皆入店させないといけない。他のお客さんに説明しにくい」。でも、いま夜の7時なので、誰もいないし、他の人が来ると私は退室するということに対して、「それでもダメだね」。その後、有道と一緒に来た記者は「この人はいい人だから、心配は要らない。お互いの話をぜひ聞かせていただきたい」と15分ぐらい交渉してくれた。やがて入店許可を得て、有道と記者5名は飲みながらママとホステスの立場を聞いた。
●当社の立場: 一般的にスナックは女が数人か単独で経営することが多い。船員の連中がさっと入ると不安。しかも、スナックの制度が複雑なので、ビールの単品の高価額、チャームチャージ、女性飲酒も有料、ボトルキープなど、性的サービスがないことによってクレームや怒りがあったらどう応対すればいいかは迷う。特に飲酒が強いロシア人の旅の恥じのかき捨てがあったらどうなるかは分からない。噂によると市内でロシア人がスナックに入り込み、ママを輪姦した事件があった(警察と新聞で記録がない理由は当事者は恥じて通報しなかったという)。自分の記憶では市内で6年間のロシア人による検挙はおよそ30件があったようだが、詳しくは警察署に問い合わせるべき。でも、当店ではトラブルの検挙は一回もなかった。看板は防犯措置として飲食店組合の勧めで、当初から現在に至って掲げた。
●看板を外す? そこまで治安に対して安心感がない。でも、有道の立場は分かったので、看板の掲示は良くないと認めて、警察の警備(例えば、一時間毎に警察が立ち寄りすること)が整えられたら検討する。
●有道 出人の感想: 非常に複雑な気分です。この場合は人々が根本的なサービスが拒否されたわけでありません。入浴施設(衛生)やレストラン(食料品)と飲屋は違います。バー等はラグジュアリー(奢侈)なので、生活水準を維持するための社会的サービスでありません。しかも飲酒店だから、酒盛りになると人々は自粛やコントロールを失うことは多発します。だからママの恐怖感はよく分かります。入店する顧客の見計らい・選別と警備が必要だと私も認めます。ただ、問題は「外国人がそうなるから拒否」という前提、及びそう現す拒否看板です。これは『外国人の警戒』よりも治安維持の問題に当たり、警察が抱えなければいけません。上記の解決案で警察署が問題を起す人を入国する前に篩に掛けると保安の不安が大分なくなり、飲食店は自警をする必要がなくなるかもしれません。しないと、こうやって経営者が恐怖に負けて一番儲かるのは看板のメーカーでしょう。
場所:「みゅうじっくはうす歌屋 紋別店」
住所:紋別市本町5丁目 電話 01582-3-1010
拒否看板の内容:ロシア語のみで「日本人専用店」2001年(?)の開店から掲示
●私の入場の結果: 日本語ができるから有道はカラオケ・ルームを無事に借りえると言われた。ただ、国内の住所の証明を提示し、メンバーにならないといけない。でも、それは使用者全員へ国籍と無関係に要求する。
●当社の立場: 店長代理の石川氏の心配は、当店は酒を出すので、酔っているロシア人がルームを破壊して高価格のカラオケ機械を台無しにすることだった。当店ではこの事件に遭遇したことがないが、市内の他のカラオケ会社でそのことがあったと聞いたことがあると。でも、有道が海外の音楽セレクションを見たうえ、なぜロシア語の歌がないのにロシア人が入店したくなるのか、石川氏はうまく答えなかった。しかも、玄関にあった看板はロシア語のみで書いてあったため、「ロシア人お断り」が書いてあったと思い込んでいた。「外国人お断り」という意味になると分からなかった。
●看板を外す? 検討中。カラオケのチャージシステムやカラオケ機械の作業説明は他言語で難しいと思うので、日本語ができない顧客の入店について困難を現わした。有道はカラオケをリースした会社(全国のチェーン)に連絡することを助言した。海外の音楽セレクション本は数百ページがあり、数カ国の歌を提供しているので、きっと数カ国語のガイドや説明書があるのでは、と言った。東京都新宿のカラオケ会社は数階建てのビルの中で外国人の歌専用のフロアがあるので、間違いなくあると確信を持つ。石川氏は調べてみると。
●有道 出人の感想: このケースは再び恐怖によるオーバーリアクションだったと思います。もちろん、国内の住所の証明はリーズナブルな条件です。これは単なる食事や入浴にすぎないわけではなく、レンタカー会社やビデオレンタル会社などは自分の設備を借用しているので、借りた人の責任を確保することができなければ盗難事件になりえます(日本人にも外国人にも実施すれば)。しかし、看板で外国人なら借用するまで信用できないと宣言する必要はありません。
紋別市はコミュニティとして恐怖の虜になったと思います。経験したことがない問題を予防するために、内容の分からない排斥看板を掲げて、外国人の風評の流布を煽りました。つまり防衛策は条件反射が目立ったと感じてしまいます。しかし、これは日本のみの現象で決してありません。例えば、何よりも自由を重視するアメリカも「反テロ措置」で公民権法を削りつつあり、国民はテロの被害に恐怖していて納得しています。世界史で各社会に即崩壊するような現象があると心配が広がると、過剰反応するケースは多いです。例えば、魔女狩り、赤狩り、「カルト」と見られる新宗教防止法、フーリガン対策。紋別の場合、日本語ができないアル中で体臭の強いサイコバス(社会病質者)のロシア人船員が悪鬼になりました。
でも、例外があります。紋別でも冷静な目で対応しています。例えば、市内の一番大きな焼き鳥屋「平成園」の前に、こういう看板:
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当店でのトラブルを禁止します。
トラブルの際には警察に通報します。
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これが満点。他のバー「番屋」にはロシア人船員がよく来るようです。カートハウスは美人の湯で番屋で働くスタッフとの話し掛けになって、半年以上勤務しても一回もロシア人によるトラブルの事件がありません。つまり、ロシアンと不治安はイコールでありません。
しかし、日本ではよく「外国人は接近すると異文化、異言語による誤解が生じる」と感じてしまいます。これは論外です。
以前数回も申し上げたが、営業する側は自分の顧客を選ぶ権利があると私も認めます。しかし選び方によります。「当店への入場にはネクタイが必要」ならば、リーズナブルでしょう。顧客がネクタイをするのは任意です。同様に、「酔っている方はお断り」なら、醒めてから顧客になります。国籍や外見は対等な条件ではありません。個人の力では変更できないことだからです。
しかも「外国人」や「日本人専用」を拒否・受入れの資格にすると誤解が生じます。21世紀の日本で国際化の進展と国際結婚の急増(毎年およそ4万組に登る)をめぐり、もはや「外見」のみで「日本人」を判断しにくくなりつつあります。
この問題は異文化や国際交流などの問題ではなく、むしろ、治安が保障されないという不安からくるのです。保安するのは警察の責任です。排斥する施設らは「トラブルがあった時、警察を呼んでも来ない」との理由を挙げ、排斥看板を掲げることで、自警団となっています。
根本的な問題は治安にあります。もしトラブルがあると、用心棒を雇用していない店はどう対応するのか。警察に通報しても、来なかったことがあった、とそれぞれに私がインタビューした外国人お断りの施設(例えば小樽温泉問題「湯の花」)が言いました。もしかして原因は「外国人を逮捕すると国際事件となり、ペーパーワークが大量になる」かもしれないとも、推測しております。とにもかくにも、保安官に救われる自信がなくなれば、当事の施設は自警しなければいけなくて、「死活問題」と本気に考えて排斥看板に訴えます。
最後に協調したいのは、紋別は非常に親しみのある町だと感じております。言語の障壁がないと相手が分かってきてから、私たちに遠慮なくしゃべってくれました。しかし、この排斥看板はたいへん対照的でした。