外国人排斥小樽入浴施設訴訟

撤廃法が制定されていない日本における人種差別
小樽温泉訴訟判決は11月11日予定

2002年11月5日発行
有道 出人(あるどう でびと)著(1人の原告)

 6日間後、非常に画期的になりそうな判決が札幌地裁にて下されます。これは外国人を排斥した小樽の入浴施設と小樽市を相手取った訴訟の判決です。結果は日本在住外国人およそ170万人に影響する可能性がある為、「画期的」と言っても過言ではありません。きちんと外国人または外見が外国人みたいな日本人が人種差別から守られているか、しかも行政官は管内における人種差別を撤廃する責任があるか、この判決で声明されます。

 経緯を語らせていただきます。北海道の国際港町・観光都市小樽市は、水産業者としてのみ毎年ロシア人船員約3万人が入港しています。しかし、市内の民間施設、特に入浴施設は、マナーの悪い一部の船員を経験し、日本人客が敬遠しつつあると訴え1994年から一律外国人を「入場お断り」の営業ポリシーを実施し始めました。玄関前に数カ国語で「JAPANESE ONLY」という看板で門前払いしました。

 (http://www.debito.org/nihongotimeline.html を参考に)

 外国人も入浴を楽しむので、外国人排斥問題を施設らと取上げた人々には色々な理由をつけられシャットアウトされました。「外人は日本の入浴習慣が分からない」「我々の多くの日本人客は『外人アレルギー』があるから、客商売とし断るのは仕方がない」「ロシア人船員と普通の外人を見分けられない」「ロシア人だけを断るのは露骨な差別であるので、一律外国人を断るのはやむを得ない」等と。

 行政官に改善を要請しても、対応や解決の進展が足りなかったという声が多かったです。当局の理由は、「人種差別」は日本民法にとって「不法行為」になりません。人種差別を禁止する立法がないため、この民間会社の施設らやをこのポリシーをやめさせる「強制力はございません」と市、道、国のそれぞれの行政官は述べて、効果的な解決策を出しませんでした。施設らは断り続けました。

 よって長い間、見過ごされた問題はじりじりと拡散しました。北海道の他の地方(留萌、稚内、紋別、根室、大滝村)が外国人を断り始め、そして全国(三沢市、新橋、浜松市、那覇)のそれぞれの業界(店舗、レストラン、タクシー、飲み屋、ディスコ、パチンコ、理髪店)にも蔓延しました。稚内の公衆浴場「湯らん銭」は「外人風呂」を設け、日本人客は通常の入場料360円を払うものの、はるかに小さな別施設に分離された外国人客から2500円を徴収しています。今年、サッカーのワールドカップの際に「反フーリガン対策」として「メンバー・オンリー」の看板を掲げた札幌の店舗のいくつかは、未だに掲示しています。

 数年かけて、私たちは立法府に「人種差別撤廃法・条例を制定」を要請しました。我が国は1996年に、国連の「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約 」を発効し、締約国として「国及び地方のすべての公の当局は、立法を含み、すべての適当な方法により遅滞なくとることを約束」したと指摘しました。しかしながら、殆ど7年近く経過し国会にまだ議案は提出されていません。私たちが小樽市議会に2000年1月に提出した差別撤廃条例案は「継続審査」に留まりました。

 私は日本の国籍を取得してから、この差別がどのくらい深刻な問題であるか改めて痛感しました。再度外国人を排斥する施設に行き、帰化した証明を見せても「外見上日本人に見えない為、他の日本人客に誤解が生じる恐れがあるので」入場を断られました。私のみではなく当施設は私の娘の内の一人は、日本生まれの日本人ですが、外見上欧米系が強いのでお断りとなるという事実も認めました。

 先天的による条件、例えば外見で人を顧客として選別するのは大きな危険性を伴います。毎年、日本国内での国際結婚は3万組に登り、生まれてくる「多国児」の数十万人は既に日本社会に加わっています。日本の国籍を有し「外国人登録者数」に現われない為、この子供は本当の国際化の魁であります。しかし、これから外見による差別から守る立法を通過させないと日本人も「外国人お断り」で該当者になり、色々な面で社会のアクセスが阻害されるようです。

 この理由で私たち(ドイツ人、アメリカ人、日本人の私)は提訴しました。温泉と小樽市民と直接アピールし、及び行政官の市議会、道議会と、しかも立法府の国会、政治家、さらに帰化し、あらゆる手段をし尽くしました。法務省の人権擁護部からアドバイスしていただいた通り、私たちを排斥した温泉「湯の花」を「人種差別」で訴え、該当する行政官の小樽市を「国連条約違反」で提訴しました。

 もちろん、「人種差別」行為は万国共通です。但し他国の場合、その差別行為が起きる際に立法の下で行政官から逮捕や罰則があり、そこで差別を撤廃する措置が採られます。しかし日本ではできません。なぜなら経済的発展したOECD連盟国として、人種差別撤廃法のない国家は日本のみだからです。

 このことにより在日外国人に及ぼす弊害が大きいです。数世代かけて日本生まれ育った外国人の場合でも、公共住宅の入居、国家公務員の雇用機会も却下されます。来日外国人の場合、クレジットカードや住宅ローン、借家、健康・雇用保険、年金と正規雇用も頻繁に拒否されます。外国人の納税者でも人生上の機会を均等させる立法はありません。

 さらに、外国人は官僚側からのイメージダウンから守られていません。最近我が国では「外国人による犯罪が多し」という宣伝が波及しています(実は、検挙による外国人の犯罪率は日本人より半分なのに)。よって、2000年に石原都知事のいわゆる「三国人スピーチ」の中、陸上自衛隊に「不法入国した多くの三国人・外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している。・・・こういう状況で、すごく大きな災害が起きた時には大きな騒擾事件すらですね。・・・こういうことに対処するためには我々警察の力をもって も限りがある。だからこそ、そういう時に皆さんに出動願って、災害の救急だけではなしに、やはり治安の維持も一つ皆さんの大きな目的として遂行して頂きたい」とアピールしました。ところが、どうやって外見上のみで「不法外国人」を判断するのかは説明していなかったので、施行となると無実は人にも当該されます。

 日本警察庁も外国人のイメージダウン現象に参加しています。平成11年5月に「国際化対策委員会」を設置し、その下に「来日外国人犯罪対策及び適法に在留来日外国人に対する犯罪保護等を行う『来日外国人犯罪等対策室』を設け、都道府県警察においても同様の組織を整備するなど、捜査体制を強化する」と白書で述べました。よって、最近警察署は「不良外国人によるひったくり多発」等をいう垂れ幕やビラを発行し、都会の銀行、公共輸送機関の駅、公共施設で掲示しております。警察官は「中国語を喋っている人を見かけたら110番へ通報」とも言い、「防犯の為に」と正当化します。

 外見が日本人離れの日本在住外国人はおよそ100万人がいるものの、この公の席からの弊害から守ることはできかねます。この差別を招く行為は日本国憲法違反だと言えるものの、日本政府は法的に執行しません。

 この意味からも小樽温泉訴訟は画期的だと思います。司法的にも外見上差別から守れなければどうするのか、という疑問が残っています。法廷に持込みほぼ2年経ち、自治体も日本国憲法または国際条約を守り管内における差別行為を撤廃する責任があるかどうか、この判決で声明が出ます。

 私個人として判決は建設的な方向になるとは自信がありません(係わる裁判官は私が日本人だと考えていないようです)。が、いずれにしてもどれぐらい在日外国人に対し社会問題があるかとの意識高揚になる機会であろうと思います。と共に、高齢化・国際化しつつある日本はきちんと21世紀を前向きに社会の変革を認知し、統べての住民の人権を守り住みやすい環境を作るかどうか、この判決は一つの標となります。

ENDS

関連リンク:

石原都知事等に関すること:
http://www.debito.org/A.html
警察庁に関すること:
http://www.debito.org/TheCommunity/communityissues.html#police
W杯に関すること:
http://www.debito.org/susukinosign.html
外国人犯罪率に関すること:
http://www.debito.org/TheCommunity/crimestats.html

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