Japan Timesコラム和訳:「魔のG8サミット接近中:7月のG8長談義は日本で悪いことばかり目立ち、ホスト北海道には何の利益もないだろう」

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Handbook for Newcomers, Migrants, and Immigrants to Japan\Foreign Residents and Naturalized Citizens Association forming NGO\「ジャパニーズ・オンリー 小樽入浴拒否問題と人種差別」(明石書店)JAPANESE ONLY:  The Otaru Hot Springs Case and Racial Discrimination in Japan

Hi Blog.  Translation by a journalist of one of my Japan Times articles on the G8 Summit for domestic consumption.  Many thanks.  Pass it around to readers of Japanese.  Debito

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THE JAPAN TIMES TUESDAY, APRIL 22, 2008
Summit Wicked This Way Comes
The G8 Summit gives nothing back, brings out Japan’s bad habits

Original English at https://www.debito.org/?p=1639.

魔のG8サミット接近中
7月のG8長談義は日本で悪いことばかり目立ち、ホスト北海道には何の利益もないだろう

有道出人(Debito Arudou)(www.NikkanBerita.comの木村嘉代子氏 訳)

私の住んでいる北海道の洞爺湖で7月のG8サミットが行われることをたぶん耳にしているはずだ。このイベントになじみのない人のために、外務省の発表した案内を紹介する。

「8カ国による(G8)サミットは、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ロシア、イギリス、アメリカ、欧州委員会議長が出席して毎年開催される会議で、首脳たちは、経済や社会問題を中心に、国際社会が直面しているさまざまな課題について、自由かつ活発に意見交換を行う」

平和的な会談をする人々(特に軍隊を送り込まない人々)を支援しつつ、このイベントが北海道にもたらす社会的ダメージについて考えてみよう。

国際イベントというものは、日本に最悪なことをもたらす傾向がある。官僚主義的で何でもコントロールしなければ気がすまない性格を持ち合わせている日本は、世界が注目しているときになおさら、その傾向が数倍にも強まり、政府はここぞとばかり、“安全”を口実に、法律で処理しがたいほどの権力を発揮するのである。

その良い例が2002年のサッカーワールドカップで、警察とマスコミの過剰行動を直接(札幌でのイングランド対アルゼンチンの試合のとき) 私は目撃した。何ヶ月間もメディアは「反フーリガン」キャンペーンを行い、本州から渡ってきた警官の数え切れないほどの大騒動があり、繁華街のあらゆる場所に夜警の検閲所が設けられた。警察はシステム的に、いかがわしそうな人(私のような)を立ち止まらせ、出身地や滞在の目的について職務質問した。「日本人以外お断り」という表示(いくつかはまだ残っている)が店先に掲げられた。

地元の人は好機を棒に振ってしまった。外国人風の人は、街頭やカフェで恐怖や嘲笑の対象としてみなされ、それだけではなく、店員は閉めたドアのシャッターの向こうでうずくまり、ビジネスチャンスを逃した。日本人以外の人が巻き込まれた暴力事件は報告されていないにもかかわらず、不便な思いをさせたことに対して公式な謝罪があった。

こうしたことは今回がはじめてではない。ビートルズが東京武道館でコンサートをした1966年に立ち戻ってみよう。1万人の観客のうち、3000人、そう3000人が警官が席を占めていたのである。警官は控えめな拍手をしていただけだった。たくさんのカメラマンが、旗を振り、喜んで立ち上がるファンを撮影するのを待ち構えていたからだ。

そのときももったいないことをしてしまったのだ。ビートルズのアンソロジーのインタビューによると、4人のメンバーは、ホテルの部屋で刑務所の中にいるように感じたという。ジョージは、「軍事演習」の雰囲気と比べ、リンゴは、「人々は気がふれていった」と語った。グループとして彼らが再来日することはなかった。

現在の重要問題のひとつに、世界の人々を不安がらせている「テロの脅威」がある。昨年11月から、入国する際、永住者も含むほとんどすべての外国人は指紋の検査をされることになった。テロ、伝染病、外国人犯罪を抑制する方法として、はじめて合法化されたのだ。読売新聞の12月31日の記事によると、サミットに向けて、法務省は反グローバル化運動の活動家の入国を拒否する傾向が強まっているという。

網を広げて、いわれのない人まで捕獲しようとしている。G8市民フォーラム北海道の越田清和事務局長によると、女性労働者の権利の主張者が、今年に入って日本への入国を拒否された。アジア女性協会の韓国の活動家キム・エシュウさんは、この団体の公式代表者として昨年日本に入国したが、今年になり、個人としてのみ入国を許可された。政府は、潜在的なトラブルメーカーとみなした人物を数ヶ月前から監視する動きがでている。

ここにすでに書いたように、市民の自由はサミットを前に蝕まれている。洞爺湖やその周辺がサミット期間中に一般人の出入りを閉鎖するだけではない。警察の命令により、札幌市の3つの公園での集会を7月1日から11日まで規制する、昨年12月に札幌市は発表した。抗議の末、自粛に訂正されたが、結局は同じである。

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言うまでもなく、これらの公園は公共の場であり、サミット会場から80km離れている。治安の範囲は、東京都のほぼ全域をカバーする大きさである。東京の中心にある皇居で行われるイベントのために、箱根での公式集会を禁止するのと同じである。

ホストの北海道にとって最も重要である、貧困や先住民、平和、さらに経済や環境といった課題で話し合うG8市民フォーラム北海道が計画中のオルタナティブサミットはどうなるのだろう。手ごわい。フラワーフェスティバルや、PMF、札幌夏祭り、中島公園の蚤の市も予定が変更された。これらも破壊活動とみなしているようなもので、ばかげている。

しかし、誰が地方の田舎者が必要とするものを気にするというのか? 遠いホテルで世界のリーダーたちが仲良くして、潜在的な不愉快な事件で中断されることなくディナーを楽しんでいるときに。

生活を楽しむために懸命に稼いで支払った税金を有効に使うことができさえすれば、北海道が貧乏になろうとも、国際イベントを開催することに大賛成である。1972年、冬季オリンピックが開催され、ビルやアリーナ、地下鉄が造られた。サッカーワールドカップでは、日本一ともいえる、地元野球チームのホームでもある札幌ドームを残してくれた。しかし、サミット後、やり遂げたという気持ち以外、洞爺湖には形のあるものが何も残らないだろう。北海道新聞によると、サミットの国際メディアセンターは取り壊されるという。

公式発表として、北海道経済連は、サミットにより、今後5年間で379億円の経済効果があると見積もっている(関係のないニセコのスキーブームも含んだ数値だということは疑いもない)。しかし、真面目に考えてみて、「G8饅頭」などというものを買うために、洞爺湖に大勢の人がやってくるだろうか。ここ5年間のサミットの開催地を誰が覚えているというのか? さあ答えてみよう。これで私が言いたいことがわかるだろう。

ヤフー・ニュースによると、首脳たちの3日間のサミットの密会に、185億円(1億8000万ドル)かかるという。小さな注意書きには、そのうちの140億円を「警備」に回す、とある。だとしたら、誰が利益を得るのか? 予算の大部分を配分される警察と、疑わしい民間人を取り締まることでさらなる先例を作り出そうとしている政府。

これが、いままでのサミットの最大の皮肉である。列強は全世界に民主主義を広げるとスローガンを掲げているにもかかわらず、彼らの会議は悪名高く、議論と一般市民の参加を鎮圧する反民主主義的方法で行われる。G8のメンバー国がパーティーを台無しにする異論を恐れているのなら、政治における民主主義の再考の場とはいえない。特に、この民主主義の促進を妨げる考え方が、日本ではどのような副作用があるか(訳注:警察の悪乗り)を考えたら。

サミット前症候群の苦しみに関係なく、日本は穏健な警察国家風の兆候がある。司法システムにおいて、捜査、逮捕、尋問、拘留、有罪判決での過剰な力が、すでに検察側に認められているのだ。さらに、(憲法で保障された権利である)市民の集会といった民主主義の根本のようなものには、警察や地域ビジネスの許可が求められるのである。(Zeit Gist、2003年3月4日)。

さらに、東京にある日本最大の警視庁はときどき、市民の責任を支配する紐のようになることができる。意地の悪い批判をしないエドワード・サイデンステッカーでさえ、こう言っている。

「東京の警察庁長官の任命は、首相の同意と、効力のない警察委員会の助言で行われる。このうちのどの当局も、知事や地方議員に抑制されない。大統領や女王や法王の襲撃といった恥をかくことに警戒する必要があるとして、東京は警察都市になっている。

北海道には、1000人の「警備担当警官」が送られ(読売新聞によると、さらに300人の「アドバイザー」も)、その他2000人の一般警官が送られ、何が起こるのか見張っている。前回日本で開催された2000年の沖縄・名護市のサミットでも、同様の結果だった。間違いない。

「他の国の費用の10倍である810億円を日本はサミット開催のために費やし、その約半分が警備に使われた。22000人の警官が日本を縦断し、20機の飛行機と100艘の船(駆逐艦も含む)がバックアップし、沖縄の地上、海上、上空をパトロールした」と、2000年9月に日本政策調査研究所は報告している。

「泳ぐ人やダイバーは周囲の海からを追い払われ、昔の墓の洞穴の内部は慎重に調べられ、G8関係者が通るすべての主要道路の周辺は念入りな警備体制がしかれた。地元の沖縄人は自宅から外出することができず、サミット開催地の境界には近寄れなかった」と日本政策調査研究所は続ける。「もし近づこうとすると、警察が名前と車のナンバーをすぐに書きとめ、黒いスーツ着用の秘密公安員が、“名護ピースウォーク”で平和的にデモをしている人の顔写真を盗み撮りのように撮影した」

最後に、ガーディアンの記者は、「遠く離れた島でのG8サミットの開催は、アルカトラズ(訳注:サンフランシスコにある離れ小島の刑務所)のデラックス版といえ、効果的だ」と結論づけている。

日本の20%を占める北海道は、アルカトラズとしては明らかに大きすぎる。しかし、官僚はそれを目指してよくがんばっている。北海道の大都市の社会運動を押さえつけるだけではない。4月14日の読売新聞によると、「駅と重要な施設」の周辺の疑わしき人々を監視するために、東京の池袋と新宿の「住民」および「町内会」の約3000人を警察はアシスタントとして命ずるそうだ。治安範囲は800kmにまで広がっている!

ポイントは、国際イベントは日本に悪い習慣をもたらす、ということである。それでは、2016年オリンピック開催の候補地に名乗りを上げている東京はどうなる? 一般市民を押さえつける、さらなる騒々しい公式の恐怖と取り締まりキャンペーンのきっかけになり、この幼稚な国家で最も得をするのは、警察なのだ。

結論。政治システムの点から日本はこのようなイベントのホスト国としてはまだ十分成熟しているとはいえない、と私は思う。訪問するだけなのに日本以外の国が恐ろしいかのように日本社会を脅かして人々を煽るのをやめるために、メディアは言うまでもなく、行政の適切なチェックとバランスを日本は発達させなければならない。日本の役人にブレーキをかけ、未熟のままの市民社会で取り締まるという警察国家に日本が変わっていかないよう防ぐ必要がある。

そうでなければ、チャルマーズ・ジョンソンが言ったように、「経済大国ではあるが、政治小国」として、日本がG8の仲間として居残ることになるだろう。

ENDS

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